TL;DR
Collector Crypt($CARDS)は、この分野で最も収入の大きいプロジェクトだ。DefiLlama が集計する Physical TCG の 23 プロトコルの直近 30 日の Fees は合計約 $23.5M で、Collector Crypt は $16.55M(約 70%) を占める。過去一年の収入から換算した年率収入は約 $97.3M、Courtyard($47.4M)の約 2 倍だ。
ただし、この「収入」は「パック販売から公式の買い戻しを引いた額」であり、カードの調達費用は控除されていない。したがって利益ではなく、純残存 GMV に近い。またトークンの価値獲得は弱く、30 日で $CARDS の買い戻しに使われたのは約 $106K にすぎない。同じ期間にアンロックされた約 5,900 万枚(約 $16.7M) は、その 150 倍以上に相当する。
Courtyard は別の路線を取る。Polygon 上の保管と二次市場を組み合わせ、VC の支援を受け、トークンは発行していない。月収入は 2026 年 5 月に $6.73M でピークとなり、9 月には $2.17M(-68%) に低下した。2026 年のこの分野の成長は、ほぼ Collector Crypt のオンチェーン抽選(Gacha)モデルから生まれている。
分野全体の構図
収入は上位に大きく集中し、Gacha モデルの収益化は純粋な取引市場モデルより明らかに強い。DefiLlama の Physical TCG 分類の TVL は、合計わずか $19.5K。金庫で保管する実物カードが TVL に含まれないため、この分野は Fees、Revenue、取引量で評価すべきだ。DefiLlama
以下は資料の 30 日と 7 日のスナップショットを保った比較で、提供されていない過去の時系列は作っていない。
| プロトコル | 30d Fees | 30d Revenue | 7d Fees | チェーン/モデル |
|---|---|---|---|---|
| Collector Crypt | $16.55M | $16.55M | $3.70M | Solana / Base / Robinhood Chain、Gacha と市場 |
| Courtyard | $2.21M | $2.21M | $483K | Polygon、保管・市場・自動販売機型の抽選 |
| Gacha TCG | $2.17M | $493K | $413K | Gacha、収入として残るのは約 23% |
| Beezie | $574K | $574K | $95K | — |
| Gemint | $467K | $467K | $100K | — |
| CARDZ.GAME | $436K | $436K | $48K | — |
| Phygitals | $248K | $248K | -$106K | 7 日はマイナス、買い戻し支出がパック販売を上回った |
データは DefiLlama の 2026-10-19 のスナップショット。
観察できる点は次のとおり。
- 集中度が高い。CC が Fees の約 70% を占める。Revenue 基準で Gacha TCG を $493K だけ計上すると、約 76% になる。
- 下位の規模は小さい。第 4 位以降のプロトコルは 30 日 Fees がいずれも $600K 未満。Collex、Emporium、Grail.xyz、Jupiter Gacha の 30 日 Fees は $0。
- Gacha 自体にも損失リスクがある。Phygitals の 7 日 Fees は負だ。プレイヤーが高額カードを引き、プラットフォームの買い戻しを選ぶと、その期間はプラットフォームの持ち出しになりうる。
Collector Crypt の事業データ
CC の中心は「抽選 + 即時買い戻し」の循環だ。ユーザーがパックを購入すると、PSA 鑑定済みで金庫に保管され、オンチェーンで NFT 化された実物カードを一枚得る。その後は保有、転売、実物の引き出し、または一定の割合でプラットフォームへ売り戻せる。DefiLlama は、パック販売(オンチェーンと法定通貨)にロイヤルティと LP 手数料を加え、パック買い戻し支出を引いて計算する。DefiLlama
| 四半期 | パック販売(オンチェーン + 法定通貨) | 買い戻し支出 | 買い戻し / 販売 | プロトコル収入 | 収入 / 販売 |
|---|---|---|---|---|---|
| Q3 2025 | $73.1M | $64.8M | 88.6% | $11.46M | — |
| Q4 2025 | $115.6M | $106.7M | 92.3% | $9.44M | ~8.2% |
| Q1 2026 | $146.2M | $133.8M | 91.5% | $12.68M | ~8.7% |
| Q2 2026 | $400.8M | $368.4M | 91.9% | $32.75M | ~8.2% |
| Q3 2026 | $433.2M | $398.8M | 92.0% | $34.75M | ~8.0% |
| Q4 2026(10/18 まで) | $105.1M | $94.7M | 90.1% | $10.43M | ~9.9% |
買い戻し比率と残存率は DefiLlama の四半期損益表から計算した。Q3 2025 は $1.83M のロイヤルティと $1.26M の LP 手数料があるため、残存率の直接比較には適さない。
表から読み取れる点は次のとおり。
- 規模が急拡大したのは 2026 年 Q2。四半期のパック販売は Q1 の $146M から Q2 の $401M へ、Q1 の約 2.7 倍になった。その後の二四半期の残存率は 8–10% で安定し、規模を追うために価格設定の利益分を譲っていないことを示す。
- パック販売の約 92% は買い戻しを通じてプレイヤーに戻る。見かけの取引量の大半は、同じカードの循環ということだ。規模を測るべきなのは純残存収入で、DefiLlama の累積値は $112.51M。
- 10 月は最高更新の可能性がある。10/18 までに $10.43M を記録し、この速度なら月全体で $17–18M に近づき、6 月の $16.12M を超える可能性がある。ただし線形外挿であり、日々の収入の変動は大きい。たとえば 10/15 と 10/16 の二日で合計約 $2.1M だった。
- マルチチェーン展開の寄与はまだ小さい。30 日 Fees のうち Solana は $15.56M(94%)、Robinhood Chain は $972K、Base は $12K。法定通貨経由の販売は Q3 2026 に $6.88M を生み、役割が大きくなっている。
最も注意すべき集計基準:DefiLlama は CC の Cost of Revenue を $0 とする。しかしユーザーが引いて売り戻さなかったカードは、プラットフォームが費用を払って補充する必要があり、その調達費用は控除されていない。したがって「年率 $97M の収入」は純残存 GMV と理解すべきで、実際の粗利益率はかなり低くなる。現状のデータから正確な粗利益率は計算できない。
Courtyard との比較
Courtyard は資金調達がより充実し、品目も広い「保管 + 市場」プラットフォームだが、2026 年下半期の収入は明らかに低下した。Polygon 上で、鑑定され保管された実物コレクションを NFT にし、バーンすれば実物を引き出せる。ポケモンやスポーツ選手のカードだけでなく、時計やスニーカーへ広がり、iOS と Android のアプリも公開した。ホームページは「Vending Machine」型の抽選を主に紹介している。Courtyard
資料には一部の月の収入観測点しかないため、以下は元の指標の比較であり、月ごとの曲線は復元しない。
| 指標 | Collector Crypt | Courtyard |
|---|---|---|
| 30d 収入 | $16.55M | $2.21M |
| 30d 取引/パック量 | $160.7M | $103.1M |
| 収入 / 取引量 | ~10.3% | ~2.1% |
| 過去一年の収入(年率) | $97.3M | $47.4M |
| 累積収入 | $112.5M | $64.8M |
| 月収入のピーク | $16.12M(2026-06) | $6.73M(2026-05) |
| 2026-09 収入(ピーク比) | $12.53M(-22%) | $2.17M(-68%) |
| 資金調達 | シードラウンド + $1.9M のプレセール | $37M(Seed $7M + Series A $30M) |
| トークン | $CARDS | なし |
データは DefiLlama の 2026-10-19 のスナップショット。Courtyard の調達情報:2022-11 のシード $7M(NEA、YC、OpenSea Ventures、Brink's など)、2025-07 の Series A $30M(Forerunner、NEA、ParaFi など)。DefiLlama
- 二社の収益化モデルは異なる。Courtyard の収入は取引量の約 2.1% で、取引市場の手数料水準に近い。CC の約 10% は、Gacha の価格設定における胴元の優位を表す。
- Courtyard の収入低下の理由は公開されていない。DefiLlama は Courtyard の集計方法を公表しておらず、methodology 欄は空だ。需要が実際に弱くなったのか、集計基準の変更なのか判断できない。ただし 30 日取引量はまだ $103M あり、二次市場の活動が消えたわけではない。
- 二社は対照的に動いている。2026 年 3–5 月の月収入はまだ近く、$6–9M の範囲だった。6 月から CC が差を広げ、Courtyard は同時期に低下した。これは $CARDS の OKX 上場(約 2026-06-25)や CC がトークンの報酬で抽選量を促した時期と重なる。時間の一致に基づく推論であり、直接の証拠はない。ChainCatcher
$CARDS の評価とトークノミクス
収入倍率で見れば $CARDS は高くないが、トークンへのキャッシュフロー分配は少ない。2026-10-19 時点のデータは次のとおり。
- 価格は $0.2826(24h +4.7%、7d -13.8%、30d +51.1%)。
- 流通時価総額は $255.1M、FDV は $557.9M、24h 取引高は $11.6M。
- 2026 年 3 月に約 $0.038 へ下落した後、10/12 に $0.326 へ反発し、2025-09-14 の過去最高 $0.3814 に近づいた。
| 評価の基準 | 計算 | 倍率 |
|---|---|---|
| 流通時価総額 / 過去一年の収入 | $255.1M / $97.3M | 2.6x |
| FDV / 過去一年の収入 | $557.9M / $97.3M | 5.7x |
| 流通時価総額 / 直近 30 日の年率収入 | $255.1M / ~$201M | 1.3x |
| 30 日の保有者収入 / 30 日収入 | $106K / $16.55M | 0.6% |
重要な点は次のとおり。
- 価値獲得は弱い。2026 年 4 月からチームは抽選収入で $CARDS を買い戻してバーンするが、DefiLlama の保有者収入の累積は $841K にとどまる。2026 年 5–9 月は $0、10 月にようやく $113K が再び計上された。収入の大半は会社に残り、トークン保有者へ流れていない。
- アンロック圧力は続く。予定表では毎月約 5,926 万枚、総量の約 3% がアンロックされる。現在価格で約 $16.7M、CC の一か月の全収入に相当し、30 日買い戻し額の 150 倍以上だ。対象にはチーム(一回 3,250 万枚)、コミュニティ、Seed、Advisors が含まれる。9 月末のアンロック価値は約 $10.9M だった。Odaily
- 流通量データには食い違いがある。市場データの流通量は 9.026 億枚だが、アンロック表の 2026-10 末の解放済みは 6.77 億枚。集計基準が異なる。前者で時価総額を計算する方が保守的だ。
- 倍率が低いのには理由がある。収入はカード調達費用を引いておらず、トークンにキャッシュフローの請求権はほぼない。継続的な供給圧力もあるため、2.6x の売上倍率を単純に割安と解釈できない。
リスク
| リスク | 深刻度 | 説明 |
|---|---|---|
| Gacha の規制/賭博性 | 高 | 有料でランダムな実物を抽選し、即時に買い戻す仕組みは、複数法域で抽選や賭博と認定されうる。法定通貨経由の拡張はコンプライアンス上のリスクを広げる |
| 収入基準の過大さ | 高 | 調達費用が未控除で、販売の約 92% は買い戻しで戻る。実際の利益率は不明 |
| トークンの価値獲得 | 高 | 買い戻しは少額かつ不連続。毎月約 $16.7M のアンロックが価格を圧迫する |
| ポケモンへの品目集中 | 中 | 需要はポケモンカード価格の循環に左右される。Courtyard は時計とスニーカーへ分散中 |
| 保管と IP | 中 | PSA の鑑定と第三者の金庫に依存する。ポケモンの権利元 TPCi の姿勢は潜在的な不確実要因 |
| 競争と補助 | 中 | Gacha TCG、Phygitals などに負の収入や低い残存率があり、資金を投じて取引量を奪い合う動きが示される |
結論
Physical TCG は、暗号資産 RWA の中で九桁の年率キャッシュフローを持つ数少ない分野になった。ただし現在の成長は主に Collector Crypt のオンチェーン Gacha から生まれ、実物資産のトークン化という物語とは完全には一致しない。
Courtyard は保管と市場を組み合わせるモデルが機能することを示し、機関から $37M を調達した。しかし 2026 年下半期の収入は大幅に低下し、照合できる公開集計方法もない。CC は規模と残存率で先行するが、その収入は利益ではなく純残存 GMV で、トークンもほぼそのキャッシュフローを得られない。
結論:この分野で CC のファンダメンタルズを見るのは妥当だ。ただし $CARDS はキャッシュフロー資産として長期保有するより、「取引量 + センチメント」の高ベータ取引対象に向く。次の四点を重点的に見る。
- 10 月の月収入が 6 月の $16.12M を超えるか。
- 買い戻しが常態化し、毎月 $1M 以上に近づくか。
- 毎月約 5,900 万枚がアンロックされる際の価格の支え。
- Courtyard の収入が Q4 に下げ止まるか、また Gacha 関連の規制情報。
資料について:本稿はユーザーの研究資料に基づき、2026-10-19 のスナップショットと元の出典の基準を保っている。今回は Surf の呼び出しや独立したオンライン確認は行っていない。プロトコル収入はカード調達費用を控除しておらず、利益やトークン保有者のキャッシュフローと同一視できない。月収入の外挿、時間の一致からの推論、評価倍率は元の制限を保った。流通量、累積アンロック、買い戻し、アンロック価値も同一基準ではない。元のグラフの仮置きは既存の比較表で表し、過去のデータは作っていない。